AOMEI PXE Boot Toolの使い方
前書き
不具合やトラブルが発生してパソコンが起動できなくなる時に、復元や修復を行うためにパソコンを起動させる方法として、ブータブルディスクよりPXEネットワークブートのほうが便利です。しかし、PXEまたはPXEブートとは一体何ですか?PXEブートを簡単にできるソフトがありますか?どのようにPXEブート機能で複数台のパソコンを起動させますか?詳細については、読み続けてください。
PXEブートとは?
Preboot eXecution Environment(PXE)は、コンピュータのブート環境のひとつ。インテルの策定したネットワークブートの規格である。ネットワークブートを利用することにより、ストレージをもたないクライアントコンピュータや、ストレージに別のOSが導入されているクライアントコンピュータがサーバ上のOSイメージを使用して起動できる。
--フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』により
もっとわかりやすく言うと、PXEとはコンピュータをネットワークを通じて遠隔から起動する方式の一つです。
●管理用のサーバから構内ネットワーク(LAN)を通じて指示を送信し、コンピュータの電源を投入し、オペレーティングシステム(OS)を起動することができます。
●起動に必要なOSイメージはサーバからTFTP(Trivial FTP)と呼ばれるプロトコル(通信規約)を用いてその都度送信するため、起動するコンピュータには内蔵ハードディスクなどのストレージが無くてもよいです。また、ストレージに記録されたOSとは別のOSをサーバから送信して起動することができます。
●起動するコンピュータには、電源が入っていなくてもサーバからの指示を受信することができるPXE対応ネットワークインターフェース(NICやLANポート)が必要となります。起動時にネットワーク設定を自動で行うためにDHCPを利用するため、サーバ側にはDHCP(補足:DHCPとは、インターネットなどのネットワークに一時的に接続するコンピュータに、IPアドレスなど必要な情報を自動的に割り当てるプロトコル。ネットワーク設定を手動で行わなくてもすぐに適切な設定で接続することができ、ネットワークの設定に詳しくないユーザでも簡単に接続できる。また、ネットワーク管理者は多くのクライアントを容易に一元管理することができる)サーバ機能も必要となります。
AOMEI PXE Boot Toolについて
コンピュータがブートに失敗した場合、通常WindowsPEまたはLinuxのブータブルUSBやブータブルCDからシステムを起動するでしょう。AOMEI Backupperの「ブータブルディスクの作成」はWindows PE&Linuxのブータブルディスクを作成できるし、起動したパソコンで様々なバックアップ&復元を実行できます。それに加えて、AOMEI Backupperは「AOMEI PXE Boot」という強力な機能も備えます。新たにブータブルディスクを作らなくてもよいので、もっと手軽に大量のPCを同時に起動させることができます。
AOMEI PXE Boot Toolの利点について
一般的に、AOMEI PXE Boot Toolは「オフラインイメージバックアップ」「オフラインイメージ復元」「ネットワークインストール」「ネットワークブート」などの場合に利用されます。このツールは次のようなメリットがあります:
1. まず、AOMEI PXE Boot Toolを利用することで一体何ができるかと簡単に言うと、「CDやUSBからOSをインストールするのではなく、ネットワーク経由でOSのインストールができる」ということです。たとえば、一度に大量のPCへ接続してOSをインストールすることができます。AOMEI PXE Boot Toolを使えば、コンピュータの電源を入れるだけで、大量のコンピュータのインストール作業が自動的に行われます。マシン一つずつにCDやUSBでシステムを導入する必要はありません。
2. パソコンが正常に起動できない場合、緊急ブート手段としてAOMEI PXE Boot Toolを利用することが可能です。たとえば、複数のクライアントパソコンをLAN経由で同時に起動することができます。
3. AOMEI PXE Boot Toolは、CD-ROMドライブ(またはUSBメモリ)が無い場合や使えない場合に非常に役立ちます。たとえば、CDドライブが壊れてしまった古いパソコンへ新しいOSをインストールすることができます。
AOMEI PXE Boot Toolを使用する方法
次に、AOMEI Backupperに搭載されているAOMEI PXE Boot Tool機能を利用して複数台のパソコンを起動する方法をご案内します。
ステップ1:AOMEI PXE Bootサービスを起動する
AOMEI Backupperを正常に起動できるサーバーまたはPCにインストールします。「ツール」タブをクリックし、「AOMEI PXE Boot Tool」を選択します。
ステップ2:プレブート実行環境を選択する
PCを起動する方法として、いずれかのプレブート実行環境を選びます。
選べる2つの方法:
1. AOMEIのWindows PEシステムから起動:推奨の方法です。ツールを使って簡単にネットワークブート用のWindows PEシステムイメージを作成できます。
2. カスタムイメージファイルから起動:AOMEI PE Builderや他社製のPEツールで作成した専用のマイクロシステムを読み込めます。
ステップ3:サービスを開始する
「開始」をクリックすると、AOMEI PXE Boot Toolが必要なデータを自動的に構成し、ターゲットPCを待ち受けるサービスを開始します。
ステップ4:LAN内のクライアントをネットワークブート用に設定する
クライアントPCの電源を入れ、必要なキーを繰り返し押してBIOS画面に入ります(通常はF2キーまたはDelキーですが、PCメーカーによって異なるため必要に応じてマニュアルを確認してください)。その後、BIOS設定で「Network Boot」を有効にします。
クライアントPCを再起動し、同じ方法でBIOS/UEFI画面に入ります。以下はPXEネットワークブートを設定する手順です。
1. ブートモードを選択する
「Bios Features(BIOS機能)」→「CSM Support(CSMサポート)」→「Boot Mode Selection(ブートモードの選択)」をクリックし、「Boot Mode Selection」で「Enter」キーを押すとポップアップウィンドウが表示されます。「UEFI and Legacy(UEFIとレガシー)」または「Legacy Only(レガシーのみ)」を選択してください。
2. PXEブートオプションを有効にする
下矢印で「LAN PXE Boot Option ROM(LAN PXEブートオプションROM)」を選択し、Enterキーを押して、「Disabled(無効)」から「Enabled(有効)」に変更します。
3. PXEオプションを第一ブートデバイスに設定する
方法①.「Boot Option Priorities(起動順序の優先順位)」の「Boot Option #1(ブートオプション#1)」を選択し、「Realtek PXE B02 D00」を指定して「Enter」キーを押します。
方法②. PCを再起動してキー(F12またはF11の場合があります)を押すとウィンドウが表示されます。そこで第一ブートデバイス「Realtek PXE B02 D00」を選択し、Enterキーを押します。
ステップ5:PXE経由でクライアントをネットワークブートする
最終的に、以下の画面が表示されればPCがネットワーク経由でPXEから起動していることを意味します。ネットワークの速度や起動用イメージファイルのサイズによっては、数分間待機が必要になる場合があります。
注意:
1. PXEブートの処理が完了するまでに数分かかる場合があります。
2. PXEブートを利用するすべてのPCは同じネットワーク上にある必要があります。
3. 多数のPCで同時にPXEブートを行うと、ネットワーク速度に影響が出る可能性があります。パフォーマンスを確保するために、PXEブートするクライアントをいくつかのグループに分けることをおすすめします。
4. AOMEI PXE ToolにはDHCPサーバー機能が内蔵されており、既存のDHCPサーバーがない場合でも利用できます。通常はLANルーターがDHCP機能を提供します。
ステップ6:クライアントPCで各種操作を実行する
クライアントPCがPXE経由で正常に起動すると、ブートイメージに含まれるツールを使用して各種操作を行うことができます。
ほとんどの場合、AOMEI PXE Boot ToolはAOMEI Backupperで作成したWinPEイメージを起動するために使用されます。起動後、AOMEI Backupperの画面が各クライアントPCに自動的に表示されます。その後、各クライアントPCでバックアップや復元の操作を行うことができます。
よくある質問
Q:サーバー側でPXEサービスを設定する方法は? クライアント側でPXE機能を使って起動するには?
A:1. プログラムを実行してPXEサービスを設定します。「AOMEIのWindows PEシステムから起動」「カスタムイメージファイルから起動」のいずれかを選択し、「開始」ボタンをクリックします。現在のシステムに起動可能なイメージファイルを作成するための環境がない場合は、Windows AIKまたはADKをインストールするよう求められます。
2. サーバー側の設定が完了したら、クライアント側とサーバー側が同じLANおよび同じネットワークセグメントに存在することを確認してください。
3. LAN内にDHCPサーバーが存在するかどうかを確認してください。DHCPサーバーが必要です。DHCPサーバーがない場合は、TFTPD32などのソフトを利用して構築することもできます。
4. クライアントPCのマザーボードがUEFIブートモードに設定されている場合、レガシーBIOSブートモードに変更し、BIOSでPXEブートオプションを有効にしてください。
5. クライアントPCを再起動し、ネットワークブートでシステムを起動します。
ヒント:
1. (任意)この機能を実行する前に、Windowsファイアウォールやサードパーティ製のファイアウォールなど、すべてのファイアウォールを一時的に無効にしてください。
2. (任意)PXEサービス開始時に、他のプログラムがポートを使用中であるというメッセージが表示されることがあります。その場合は、CMDコマンドプロンプトを開き、「netstat -aon|findstr "67"」「netstat -aon|findstr "69"」「netstat -aon|findstr "4011"」を順に入力し、サーバー側の67、69、4011ポートが他のプログラムで使用されているか確認してください。もし使用されている場合は、「tasklist|findstr "PID"」と入力してどのプロセスがそれらのポートを使用しているか特定し、手動で該当プロセスを終了してください。
Q:PXEを使用する際に、Windows PE起動可能イメージファイルの作成に失敗するのはなぜですか?
A:考えられる原因は以下の通りです:
1. 現在のシステムにWindows PE起動可能イメージファイルを作成するために必要な環境が存在しない場合。この場合はWindows AIKまたはADKのインストールを求められますので、インストール後にプログラムを再起動して再度お試しください。
2. プログラムが非英語文字を含むディレクトリにインストールされている場合。この場合、作成に失敗したメッセージが表示されます。対応方法としては、AOMEI Backupperの「ブータブルメディアの作成」機能を使ってWindows PE起動用ISOイメージファイルを作成し、プログラムのインストールフォルダに保存してください。または、インストール先を英語のみのフォルダに変更して再インストールするか、フォルダ名に含まれる非英語文字に対応する言語パックをシステムに導入してください。
3. プログラム上の不具合が発生している場合。この場合もAOMEI Backupperの「ブータブルメディアの作成」機能でWindows PE起動用ISOイメージファイルを作成し、インストールフォルダに保存してください。あるいは、AOMEI PE Builderなどの別ソフトで起動可能なISOイメージを作成するか、すでに作成済みのISOイメージファイルを選択してご利用ください。
4. サーバー側のプログラムで「ブータブルメディアの作成」が実行中の場合は、PXE機能でWindows PEイメージを作成することはできません。サーバー側での処理が完了してからPXE機能での操作を行ってください。
Q:サーバー側でPXEサービスの設定を完了しても、クライアント側がネットワークから起動できないのはなぜですか?
A:1. サーバー側とクライアント側が同じネットワークセグメントに存在しない場合、サーバー側はクライアント側からの要求を受信できず、またクライアント側にデータを送信することもできません。その結果、クライアント側はPXE機能を使ってサーバー側から起動できません。この場合は、サーバー側とクライアント側を同じネットワークセグメントに設定してください。
2. サーバー側とクライアント側が存在するLANにDHCPサーバーが存在しない場合、クライアント側はネットワーク起動時にIPアドレスを取得できません。この問題を解決するには、DHCPサービスを備えたルーターをLANに追加するか、TFTPD32などのサードパーティ製ソフトを使用して別のコンピュータ上でDHCPサービスを構成してください。
3. サーバー側のファイアウォールが有効になっていると、クライアント側がPXE機能を利用してネットワークから起動する際に影響を受ける場合があります。この場合はサーバー側のファイアウォールを無効にしてください。
4. クライアント側がUEFI起動モードでネットワークから起動しようとすると失敗します。本プログラムのPXE機能はUEFI起動モードをサポートしていません。これを解決するには、マザーボード設定に入り、UEFI起動モードをレガシーBIOS起動モードに変更してください。
5. サーバー側でログインしているユーザーが管理者アカウントではない場合、設定したPXEサービスはログイン後に自動的に起動できません。この場合はAOMEI PXE Toolを管理者権限で実行し、「開始」ボタンをクリックしてください。その後、クライアント側から再起動して試してください。
6. クライアント側がPXE機能を利用してネットワークから起動する際は、サーバー側に有線ネットワークで接続する必要があります。PXE機能は無線LANカードによる通信をサポートしていません。
Q:PXE機能を使ってネットワークから起動する際に、システムの起動が失敗するのはなぜですか?
A:1. 選択した起動可能イメージファイルに問題がある可能性があります。新しい起動可能イメージファイルを作成するか、AOMEI Backupperの「ブータブルメディアの作成」機能を使用するか、AOMEI PE Builderを利用してください。
2. 選択した起動可能イメージファイルが大きすぎる場合や、コンピュータのメモリが不足している場合、メモリ不足により起動が失敗することがあります。より小さい起動可能イメージファイルを選択してください。