マザーボード交換やCPUのアップグレードを行うと、通常はOSを再インストールしなければならないと思われがちです。しかし、OS入りSSDをそのまま使ってマザーボードとCPUを交換する方法も存在します。本記事では、マザーボード交換でSSDをそのまま維持するための3つの方法を、初心者にもわかりやすく解説します。
OSを再インストールせずにマザーボードとCPUを交換する前に、まずマザーボードとCPUを理解しましょう:
マザーボード(Motherboard)またはメインボード(Mainboard)とは、電子機器で使用される最も主要な電子回路基板のことです。MBと略されます。マザーボードには、パソコンの様々なパーツが接続されていて、複雑な回路が張り巡らされています。パーツ間の橋渡しをする役割があります。
CPU(Central Processing Unitの略、別名:プロセッサー)とは、メモリーやハードディスクと並んでコンピューターを構成する代表的なデバイスです。パソコンには必ず搭載されています。マウス、キーボード、ハードディスク、メモリー、周辺機器などからデータを受け取り、コンピューターでは制御・演算を担当します。
パソコンが故障したときや機能を拡張したいときはマザーボード(CPUも含む)を交換してアップグレードすることがあります。その際、OSの継続利用はできるのかどうか不安に感じることはないでしょうか。
ビデオカードが壊れてしまったので、この際基本性能をグレードアップすることにしました。CPUをCorei5にしたので、必然的にマザーボード、メモリも交換することになり、本日購入してきました。交換する手順を店員に尋ねたところ、チップセットが変わるのでOSの再インストールが必要とのことでした。マザーボード、CPUを交換する場合、OSの再インストールは必要でしょうか?
当方、今まではHDDの増設、メモリ、PCケースの交換、サウンドカードの増設等は経験していますが、1から組み立てた経験はありません。OSの再インストール経験もありません。どうすればいいですか?
--あるユーザーからの質問
現在、ほとんどのユーザーにとってマザーボードとCPU交換後の新規クリーンインストールにあまり時間がかからないかもしれませんが、より簡単かつ迅速な方法がまだ必要です。
新規インストールを実行すれば、前にインストールされたアプリを再インストールしたり、システムを再構築したり、バックアップしたデータを復元したりする必要があります。また、いくつかのプログラムは再認証を行う必要もあります。
OSの再インストールなしにマザーボードとCPUを交換、アップグレードできますか?
次は、マザーボードとCPUを交換してもWindows 11、10、8、7を再インストールしなくて済む方法について解説しましょう。マザーボードとCPUの交換後にOSを新規インストールしなくても正常に起動して動作することができます。
信頼性の高い個人向けバックアップソフト「AOMEI Backupper Professional」には、「ユニバーサル復元」という機能があります。
この機能を使うことで、異なるハードウェア環境(たとえば新しいマザーボードやCPU)に対しても、既存のWindowsシステムをそのまま復元して起動することができます。
さらに、復元をスムーズに進めるために、「ブータブルディスクの作成」機能を活用して起動可能なメディアを事前に用意しておくことができます。
これにより、マザーボードやCPUの交換後にPCが起動しない場合でも、作成しておいた起動メディアからシステムを立ち上げ、問題なく復元作業を進めることが可能になります。
パソコン初心者でも簡単に使える
ユニバーサル復元を実行するためにマザーボードとCPUをアップグレードする前に、AOMEI Backupperでシステムをバックアップしておく必要があります。
👉 詳細手順については、システムバックアップのマニュアルをご参照ください。
マザーボードとCPUを交換した後、Windowsが起動しなくなるかもしれないため、事前にAOMEI BackupperでブータブルCD/DVDまたはUSBを作成しておく必要があります。
👉 詳細手順については、ブータブルディスク作成のマニュアルをご参照ください。
手順 1. マザーボードを交換する前にパソコンの電源を落とします。
手順 2. すぐに作業を始めてはいけません。放電を行うためにしばらくそのまま放置しておきます。
手順 3. 数分置いたらマザーボードが固定されているネジをドライバーで丁寧に外していきます。
手順 4. 接続されているケーブルはゆっくり引き抜き、パソコンからマザーボードを外しましょう。
手順 5. 続いてI/Oシールドを新しいものに交換し、メモリを取り外します。
手順 6. 次にCPUを慎重に外していきます。
手順 7. 続いてCPU用のクーラーも取り外しますが、埃などがあれば除いてきれいにしておくといいでしょう。
手順 8. 交換するマザーボードにCPUとCPU用のクーラーを取り付けていきます。
手順 9. 次にパソコンにマザーボードをセットして元通りにネジで固定する作業に入ります。このとき、ネジに緩みがないことを確認しましょう。
手順 10. 続いてメモリを取り付け、外したケーブルもすべて接続して交換作業は完了です。
マザーボードとCPUを交換またはアップグレードした後、OSを再インストールせずにシステムを復元する手順は次の通りです。
手順 1. パソコンの電源を入れた直後に「F2」キーや「Delete」キーを連打することでBIOS画面を呼び出します。AOMEI Backupperによって作成されたブータブルメディアから起動するように起動順位を変更します。
手順 2. AOMEI Backupperのメイン画面が表示された後、「復元」→「復元するイメージを選択」をクリックして、前に作成したシステムイメージを選択します。
手順 3. 「このシステムイメージを復元」を選択し、「次へ」をクリックします。
手順 4. 復元先を選択し、「次へ」をクリックします。
手順 4. 復元を開始する前に「ユニバーサル復元」にチェックが入っていることを確認してください。
この方法は、マザーボードまたはCPUを交換する前に使用されるので、Windowsが正常に起動できます。
レジストリの値を変更する前に可能であれば念のためバックアップを取得しましょう!
手順 1. Windowsキー+Rキーを押すと「ファイル名を指定して実行」ウィンドウが開くので、「regedit」と入力し、Enterキーを押すことで「レジストリ エディター」を起動します。
手順 2. HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\services\msahci場所に移動します。
Windows 8/10またはServer 2012の場合、HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\services\storahciへ移動してください(最後のフォルダーはMSAHCIからStorAHCIに変更)。
手順 3. その「Start」を右クリックして修正するかダブルクリックします。値を「0」に変更(デフォルトは3)して、「OK」ボタンをクリックします。Startの値が0になっていることを確認してください。
手順 4. HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\services\pciideのレジストリに対して、同じく値を「0」に変更してください。
手順 5. 最後はPCをシャットダウンして、マザーボードやCPUなどのハードウェアを交換・アップグレードした後、Windows OSが正常に起動できるか確認します。
この方法は、OS再インストールなしにHDDを別のパソコンに移動するのにも役立ちます。
マザーボードとCPUの交換前にレジストリの内容を変更すること忘れてしまった方は、AOMEI Backupperのユニバーサル復元またはこの方法を試してみることができます。この方法はマザーボードまたはCPUを交換した後にレジストリをオフライン(Windowsが起動しない)状態で変更することなので、インストールメディアが必要です。
手順 1. インストールメディアからパソコンを起動します。言語やキーボートの種類を選択して「次へ」をクリックします。
手順 2. 左下にある「コンピューターを修復する」をクリックします。「オプションの選択」画面が表示されたら「トラブルシューティング」クリックします。「詳細オプション」画面が表示されたら「コマンドプロンプト」をクリックします。
手順 3. コマンドプロンプト画面で「regedit」と入力し、Enterキーを押すことで「レジストリ エディター」を起動します。
手順 4. HKEY_LOCAL_MACHINEキーを指定したら、「ファイル」メニューから「ハイブの読み込み」を選択してオフラインシステム(起動していないOS)のレジストリをロードします。
手順 5. OSがインストールされているドライブ(通常Cドライブ)→システムファイルを選択します(通常そのパスはC:\Windows\system32\config\system)。そして「開く」ボタンをクリックします。
手順 6. 「SYSTEM」ファイルを開くと、「キー名」入力欄に例えば「Offline」と入力し、「OK」ボタンを押します。
手順 7. 以下の順に移動して、それらの「Start」の値を0に設定します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\Offline\ControlSet001\services\msahci
HKEY_LOCAL_MACHINE\Offline\ControlSet001\services\pciide
手順 8. ロードしたハイブ・ファイルの閲覧・閲覧が終わったら、Offlineキーを指定して、「ファイル」メニューから「ハイブのアンロード」を選択してマウントしていたハイブをジストリから切り離します。
手順 9. 最後はレジストリエディターを終了してPCを再起動します。BIOS設定を変更し、インストールメディアを取り出し、Windows OSが正常に起動できるか確認します。
この方法は、オフラインでレジストリを閲覧・編集できるので、OS再インストールなしにマザーボードとCPUを交換するのに役立ちます。
Windows 10とそれ以前のOSでは、ライセンスの認証方法が違います。以前のOSは、製品を購入したときに発行されるプロダクトキーを入力してライセンス認証を行います。一方、Windows 10はアカウントを紐づけておく(Windows 10をローカルアカウントからMicrosoftアカウントへと変更しておく:スタートメニューの「設定」→「アカウント」→「ユーザーの情報」→「Microsoftアカウントでのサインインに切り替える」→「自分用にセットアップする」→Microsoftアカウントとパスワードを入力し、「サインイン」をクリック→ローカルアカウントからMicrosoftアカウントに変更され、紐付けは完了)だけでライセンス認証が完了できます。
マウスやキーボードを接続してパソコンの電源を入れます。
普段より時間がかかるかもしれませんが、何も問題が生じていなければデスクトップ画面まで起動されます。
ログインが促されたら、Microsoftアカウントでログインします。
通常Windows 10はまだOSとして認証されていません。システム情報には「Windowsはライセンス認証されていません」というメッセージが表示されますから、確認できます。
ライセンス認証を実行するにはスタートメニューから「設定」へ進みます。
「ライセンス認証」の画面を表示し、続いて「トラブルシューティング」をクリックすると「トラブルシューティングは完了しました」という画面に切り替わります。
この画面で「このデバイス上のハードウェアを最近変更しました」という文言をクリックすれば認証作業は完了です。
※補足:マイクロソフトに電話することで認証する場合がありますが、最近では、インターネット接続による自動認証でプロダクトキーなどを特に意識することもなく、ライセンスが通ってしまう場合が多いです。
通常、OEM版、パッケージ版(リテール)、ボリュームライセンス、3種類のWindowsライセンスがあります。OEMライセンスは、購入したパソコン本体のみに使用可能です。
パソコンを構成している部品、例えば、マザーボードとCPUを交換すると、ライセンスもなくなるので、電話認証が必要です。リテールライセンスとボリュームライセンスはマザーボードとCPUを交換しても使えるので、インターネットに接続すると自動的に認証されます。
1. 「エクスプローラー」を開いて「PC」を右クリックして「プロパティ」を開きます。
2. 「Windows ライセンス認証」内に書いてあるプロダクトIDを確認します。
プロダクトIDにOEMの文字列が入っている(プロダクトIDが「***-OEM-******-*****」である)場合は、OEM版です。
もちろん、プロダクトIDの確認だけでなく、コマンドプロンプトやWindows PowerShellを使ったプロダクトキーの確認もライセンスの種類を確認できます。
Microsoft社が販売する最も一般的なライセンスはリテール版です。NECや富士通、パナソニックなどのメーカー製パソコンに最初からプリインストールもしくはバンドルされているWindowsのライセンスが、OEMライセンスです。企業向けの「まとめ買い」専用ライセンスは、ボリュームライセンスです。Microsoft(または代理店)が法人に対して、100個~数万個単位での大量のプロダクトキーをまとめて販売する形式になります。
マザーボードやCPUを交換したあと、ライセンス認証が完了しても、Windowsが起動しなかったり、動作が不安定になることがあります。
👉 同じ型番のマザーボードに交換する場合は、既存のドライバがそのまま使えるため、基本的に問題は起きにくいです。起動しない場合は、新しいマザーボード自体の不良も疑われます。
👉 異なるマザーボードに交換した場合は、新しいチップセットに対応したドライバが入っていないため、正常に起動できないことがあります。この場合、Windowsの再インストールが必要になることもあります。
👉 また、ブートモードの違いも原因の一つです。古いマザーボードが「Legacy BIOS」、新しいものが「UEFI」になっていると、ブート設定が合わず起動できないことがあります。BIOS設定画面でブートモードを確認し、必要に応じて切り替えてみてください。
CPUやマザーボードのようなパソコン本体ともいえる部分を交換する際は、慎重さが求められています。あらかじめきちんと設定して準備をしておかないと正常に稼働しないことが多いからです。
マザーボードを変更・アップグレードして今までのハードディスクを繋げて立ち上げようとするとOSが起動しないことありますか?実はマザーボード(CPUも含む) だけを交換すると、OSが起動しなくなることが多いです。調べると「OSの再インストールがベスト」と書かれているサイトも多いでしょう。
この記事では、マザーボードとCPUを交換またはアップグレードしてもOSを再インストールしなくて済む3つの方法をご紹介しました。同じように「マザーボード交換したらOSが立ち上がらないが、OS再インストールをしたくない!」と困っている人のために情報共有したいと思います!もし、参考になれば嬉しいです。